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最高裁判所第二小法廷 平成4年(し)64号 決定 1992年10月13日

主文

本件抗告を棄却する。

理由

記録によれば、本件は、司法警察職員のした差押処分が違法として取り消されたため、司法警察員において当該差押物を被差押人に返還したところ、右物件の所有者からこれに対して刑訴法四三〇条二項の押収物の還付に関する処分として準抗告を申し立てたものである。しかし、同法二二二条一項の準用する同法一二三条一項にいう還付は、押収物について留置の必要がなくなった場合に押収を解いて原状を回復する処分であるのに対し、司法警察員の右行為は、差押処分の取消しにより押収の効果が消滅した後にその占有を移転するものにすぎないから、同法四三〇条二項の準抗告の対象となる押収物の還付に関する処分には当たらないと解するのが相当である。したがって、本件準抗告の申立ては不適法であり、これが適法であることを前提とする本件抗告の申立ても不適法である。

よって、同法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官大西勝也 裁判官藤島昭 裁判官中島敏次郎 裁判官木崎良平)

別紙特別抗告申立書<省略>

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